農産物の売り方
農業を起業しそれを維持していくためには、生産者としての視点と経営者としての視点の両方が必要になってくるでしょう。
現在の農産物は買い手市場になっています。これは、伝統的な卸売市場流通に見られるように、生産者と消費者の間に多くの仲買人が存在することによって、その農産物に込められた生産者の想いやこだわりというものが、ほとんど見えなくなってしまうからなのです。
農産物が単なるモノと化してしまうことによって、ほとんどその差異というのが感じられない農産物は、低価格競争の渦に巻き込まれてしまうことになるのです。原価割れしない、再生産可能な価格を確保するためには、その生産方法にこだわることに加えて、その価値を消費者にしっかりと伝えるような売り方が必要となってきます。
つまり、従来のように、作れば売ってくれるという卸売流通に頼るのではなく、特定の販売ルートというものを独自に確保することが必要なのです。
自身が丹精込めて作り、その品質の良さを追求した農産物であっても、実際に販売先との契約を成立させるためには、その農産物の良さをしっかりとバイヤーにアピールすることが大切になってくるでしょう。
また、一般の消費者向けの販売店に売り込む際には、一般の主婦の立場に立って農産物の価値判断をすることが必要となるでしょうし、外食店向けに売り込む場合には、その農産物をどういったメニューにすれば消費者が美味しく食べられるか、そして実際にその調理法を提示することが出来ればかなり有利に働くと思われます。